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2030年の世界を作れ!SDGsワークショップチャレンジ

東京本社 コミュニケーションデザイン局 中谷理紗子

知っていますか?

世界中の子どもや若者のうち、約58%が最低限の読み書きや計算を学べていないこと。

知っていますか?

世界の都市人口の91%が基準値以上の粒状物質(PM 2.5)が含まれる空気を吸っていること。

知っていますか?

海洋資源のうち今後も持続的に手に入れることができるものの割合は、1974年から2013年の間に90%から69%へ低下していること。

 

普段の生活ではなかなか感じられないことかとは思いますが、上に挙げたことは、今実際に地球上で起きていることなのです。

 

最近よく目にするようになったSDGsは、こういった地球上の問題を解決するため、2015年に「2030年までに解決すべき課題」として国連で採択された国際目標のこと。

そして、これらの目標の達成に向けて推進していく際のキーワードのひとつに、「すべてのステークホルダーが役割を担う(参画型)」というものがあり、この目標達成のためには、私たちひとりひとりが積極的に行動することが求められているのです。

 

そう言われても、私たちが個人として、企業として、どんな行動を求められているのか分からない!どんなことができるのか分からない!何から取り組めば良いのか分からない!という方もいらっしゃるのではないかと思います。

 

弊社にも、私を含め、上記のようなジレンマを持っている社員がおり、先日、一般社団法人イマココラボ様から講師を迎え、SDGsを学ぶワークショップを開催いたしました。

 

このワークショップは、講義とディスカッション、そして、カードゲームを交えてSDGsについて考え、学ぶプログラムになっておりますが、今回のコラムでは、特に盛り上がったカードゲーム「2030SDGs」にフォーカスしてお話いたします。

 

 

 

2030SDGs」ってどんなゲーム?

 

今回実施したカードゲーム「2030SDGs」は、「ワークショップの参加者が世界中のすべての人だったら」という仮定のもと進行します。

世界には様々な価値観を持った人たちがいるように、このゲームでも様々な価値観を持った人が登場します。お金を集めることが何よりも大切な人、お金儲けよりも自由な時間が大切な人、自分よりも他者を重んじる社会貢献意欲の強い人。そんな人たちが手元に配布された「お金」と「時間」を使って、それぞれの価値観に沿って同時多発的に「プロジェクト」と呼ばれる行動を起こします。そして、それらの行動は必ず世界の状況に何らかの影響を及ぼし、変化させていきます。

このゲームでは、そういった世界の状況の変化を視覚的に捉えつつ、最終的にその世界でどの程度SDGsの目標が達成されたかを確認します。そして、自分たちの行動がSDGsの推進や世界の状況の変化にどう影響していくのかを考えることが目的となります。

 

さて、私たちの世界は、一体どのように変化していくのでしょうか?

そして、SDGsは無事達成できるのでしょうか?

 

 

 

ゲームスタート。自分の目的達成のためにどうするか?

 

最初にこの世界での自分の価値観が書かれたカードが配られ、参加者がそれぞれ価値観とその達成条件を把握したところでゲームスタート。各々が自分の達成条件を満たすために行動を開始します。

 

 

 

 

このゲームでは他の参加者の手札からカードを盗むこと以外、参加者同士で交渉して手札を交換したり、自分が解決できないプロジェクトを解決してもらったりしても良いとされているのですが、この時点では全員が個別に行動していることが多く、まずは自分の力で達成条件を満たそうと考えているようでした。

 

そして、そのスタンドプレーがこの後悲劇を呼ぶことになるのです……。

 

 

 

前半終了。この世界、滅びるのでは?

 

各所でいろいろな思惑が錯綜する中、ゲームの前半が終了。ゲーム内の時間軸は2020年頃になりました。

2020年時点での私たちの世界の状況は、以下の通り。

 

 

 

 

これはひどい。

経済は十分過ぎる程に発展していますが、代償として環境破壊に歯止めがかかりません。恐らく森林は砂漠化し、南極の氷は溶け、多くの動物が絶滅したことでしょう。治安や格差の値を示す「社会」のメーターも思わしくありませんので、いたるところで犯罪や収賄が起こっている可能性もありますし、社会格差も大きくなっていると考えられます。

こんな世界じゃ全然安心して暮らせませんね。このままでは東京オリンピックどころではなくなってしまうかもしれません。

 

どうしてこうなってしまったのかを考え、少しでも立て直すべく後半スタート。

今度は自分の達成条件だけでなく、世界全体を良くするために参加者同士で話し合いや交渉が行われる場面も増えました。

 

 

 

 

プロジェクトの推進に足りないものは他の参加者の手札と交換してもらったり、どうしても自分でプロジェクトを解決できない場合はそれ自体の解決を依頼したり、環境と社会を良くするために全員で考えてプロジェクトを推進します。

 

後半終了の合図があり、ゲーム内の世界は2030年を迎えました。

2030年時点の私たちの世界の状況は、以下の通り。

 

 

 

 

「経済」が前半18だったのに対し、後半終了時点では19。前半1で壊滅状態だった「環境」は10まで回復。そして、前半6だった「社会」は11になりました。さらに、前半終了時点では、自分の価値観の達成条件を満たしていた参加者が8チーム中4チームだったのに対し、ゲーム終了時点では見事全チームが達成までたどり着いていました。

 

前半のことを思うとかなり改善されたように見えますが、肝心のSDGsの達成状況は……

 

なんと、100%!!!

 

見事、経済成長も、環境保護も、社会秩序もバランスよく保ちつつ、世界中のどんな人も取り残さないSDGsが目指す世界を何とか実現することができたようです。

 

 

 

世界を良くするために、どうするか?

 

前半に壊滅的だった世界が後半でここまで挽回できたのは、参加者ひとりひとりが「世界を良くするためにどうするか?」を考えて行動できたことが大きかったのではないかと考えられます。

前半と後半の行動で大きく違ったのは、やはり、前半は「自分」を中心に考えたスタンドプレーが多かったのに対し、後半は参加者全員が「世界」を中心に考えた行動にシフトしていた点。配られた価値観によっては、前半から他の参加者の力を借りなければ達成できない人もおり、そういった人は前半から積極的に交渉に動いていましたが、その交渉に前向きに取り合う様子が見えたのは、やはり後半の方が多かったように思いました。

 

ここまではゲームの話ですが、これは、私たちが現実の世界で実際に行動する場合とも強く結びついていると考えられます。

「世界を良くするために、どうするか?」

私たちひとりひとりが個人として、また、企業として取り組むときも、今回のワークショップと同様の視点で行動することがSDGs達成の第一歩になるのではないでしょうか。

自分自身の行動が未来の世界につながっていることを意識することから、私はSDGs達成のために取り組んでみたいと思います。

 

また、企業としてSDGsに取り組みたいけれど、どうしたら良いか分からない!という方は、ぜひ、ご相談ください。

企業にとって、ユーザーにとって、そして、世界にとって最適な取り組みとは何かを、私たちも一緒に考えさせていただきます。

 

 

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